Pipedream/Alan Hull

KBK2008-01-22


思わずハルさん!と呼びたくなるような
ジンガイさんでも人なつっこい名字のお方。
英国の国民的フォーク・ロック長寿バンド
リンデスファーン」に所属、しかし
彼は95年に他界されています。
このアルバムは彼の73年の初ソロで、精神病棟で療養中につくられたのだそう。
私がこの作品を繰り返し聴きこんでいたのは5年程前、転職しようかどうか
揺れ動いてた頃。入手したのは大学時代で、当時はしっくりこなかったのですが
このときはすごくフィットして。その頃に同級生の結婚式で数年ぶりに会った
N・ヤング好きの先輩に、この作品をMDにしてプレゼントしたら私以上に
ハマッておられました。


独特な歌い回しとやるせなさいハイトーンボイスはN・ヤングやB・ディランを
思い浮かべるのですが、孤高ではなく市井人的な感じがします。
しかしこの作品では彼の精神状態が反映されているのか孤独感がつきまとっています。
マグリット的なジャケットもさもありなん。鼻はパイプでろうそくはぐにゃぐにゃ、想像外。
でも、作品自体はポップです。曲調はバラエティ富んでいてキャッチー。
1曲選ぶというより、アルバムとおして聴くのが好きです。
多分ラストの「涙ちょちょ切れ」(死語?)なバラードが、全編通して聴くことによって
より一層感動的になるからかなぁ・・・。


中学・高校時代と転職端境期には「愛聴盤」と呼べる何度も聴いた作品が多いです。
不思議とシアワセで満たされていた時のBGMはあまり覚えていないもので、
悩み多い時の方が音楽と一体になれるというシアワセ。


…と久しぶりにこちらを引っ張り出してきたのは、先日から聴いている
70年代英国ヒット曲コンピにリンデスファーンの「Run For Home」という
アメリカナイズされたパプロック meets AORな素晴らしい曲が収録されていたから!
一聴目は中庸な曲だなぁという印象だったんですが、聴き進むと味がでてきます。
そして一瞬リンデスファーンとはわからなかったのですが、特徴のある歌い回しで
気がつきました!
彼が心の病から立ち直り、バンドに再び戻り、再出発したのかしら…そんなことを
勝手に想像しながら聴くと熱いものがこみあげてきます。


Run For Home収録の78年作「Back And Fourth」(未聴)